これから相続人たちで遺産分割しようと思っているのではないでしょうか。
しかし、遺産分割を進めるにあたりポイントを押さえなければ、揉める原因になってしまいます。
遺産分割で、相続人の主張がぶつかってしまうと関係が修復不可能になり相続が「争続」になってしまいます。
そうならない為に、今回は「遺産分割をスムーズに進める為の4つのポイントと3つの注意点」を紹介します。
相続手続きは、年間15,000件も遺産分割で揉めている
冒頭で、遺産分割が揉めると言いましたが、実際に年間で揉める件数は非常に多いです。

家事事件の概況及び実情並びに
人事訴訟事件の概況等
画像を見てもらうとこれは遺産分割時、裁判所に相談が持ち込まれた件数を表した表です。H30年には15,000件以上にも登ります。
この件数は、あくまでも裁判所に持ち込まれた件数になるので、データに入っていない件数も合わせると更に多くなることが予想できます。
遺産分割で揉める原因は「遺言が偏っている」「財産目録が不透明」「生前贈与が行われている」など様々ですが、年々増加傾向にあります。
このように、近年相続時の遺産分割で揉めることが多くなっています。
遺産分割で揉めないための4つのポイントを紹介

遺産分割で揉めることが分かったと思います。
遺産分割で揉めてしまうと、手続きが完了するまで多くの時間が掛かるばかりか、その後の相続人同士の関係まで問題が起きてしまいます。
当事務所であったケースでは、土地の引継ぎ問題で兄弟同士が揉めてしまい、決着が着くまでに1年3ヶ月も掛かりました。そして、その後、弟さんは親族が集まる場には、一切顔を見せなくなってしまったのです。
このように、遺産分割で揉めてしまうとその後の関係が修復不可能になってしまうこともあり得ますので注意が必要です。
そこで、遺産分割で揉めないための4つのポイントを紹介します。
- ポイント1:代表相続人は相続財産を包み隠さずに話す
- ポイント2:法定相続分も頭に入れて話す
- ポイント3:相続人同士で一方的な考えを伝えない
- ポイント4:自分の考えを相続人に伝える
それでは、各ポイントごとに解説していきます。
ポイント1:代表相続人は相続財産を包み隠さずに話す
ポイント1は「相続財産を包み隠さずに話す」になります。
相続が開始したら、代表相続人がいると思います。配偶者や長男長女が中心となって、手続きを進めることが多いです。
そのような代表相続人は、相続財産を包み隠さず他の相続人に報告しましょう。
なぜなら、他の相続人に疑いの目を掛けられないためです。
同居している相続人が財産を隠してしまい、相続手続きが終わるまで他の相続人から疑い目の掛けられたなどはよくある話です。
そうなってしまえば、兄弟姉妹の関係もギクシャクになってしまうでしょう。そうならないために、相続財産は相続人全員で共有するべきです。
ポイント2:法定相続分も頭に入れて話す
ポイント2は「法定相続分も頭に入れて話す」になります。
遺産分割は、各相続人の話し合いで決まります。話し合う時に法定相続分も頭に入れておくといいでしょう。
何の知識もない状態で、遺産分割の話し合いは何を基準に進めたらいいのか迷ってしまうからです。
各相続人が法定相続分の知識を入れておけば、互いに譲歩しながら遺産分割の話し合いが進めることができるようになります。
以下で法定相続の記事を載せておきます。
ポイント3:相続人同士で一方的な考えを伝えない
ポイント3は「相続人同士で一方的な考えを伝えない」になります。
遺産分割が開始したら、各相続人は「財産の何をどのくらい欲しい」と考えるはずです。しかし、その考えを一方的に伝えてしまったら、遺産分割はまとまらず争続になってしまうでしょう。
なぜなら、各相続人が同じようなことを考えているからです。
各相続人が、好き勝手に主張してしまえば、まとまる話もまとまらなくなってしまいます。
各相続人に財産の取り分について考えがあるはずです。しかし、遺産分割を無事に済ませたいと思うなら、一方的に伝えず歩み寄る気持ちを持ちながら遺産分割に望むようにしましょう。
ポイント4:自分の考えを相続人に伝える
最後のポイントは「自分の考えを相続人に伝える」になります。
前項で一方的な考えを伝えないといいましたが、自分(相続人)の考えを各相続人に伝えましょう。
伝えずに相続手続きが完了後に後悔しても再手続きはほぼ不可能だからです。
例えば、「生前、故人の介護などの面倒を見ていたから少し財産を多く欲しい」と思っていたが、その時は主張せず後日、怒りが収まらず相続人たちと揉めてしまったなど。
このようになってしまったら、相続人同士の関係はギクシャクしてしまうばかりか、最悪は関係が崩壊してしまうのが、容易に想像できます。
そうならないために、素直に自分が思っている気持ちも伝えて、互いに譲歩しつつ完了後も遺恨を残さないように遺産分割を進めましょう。
遺産分割を進めるための3つの注意点を紹介
揉めないための遺産分割の進めた方が分かったと思います。
無事に遺産分割が完了しても、分割方法が間違って完了してしまうと取り返しのつかない問題が起きることがあります。
例えば、相続人が後日発覚し、遺産分割を再度やり直した。
このように、遺産分割を進めるにあたって注意しなければならないこともあります。
それでは、進める為の注意点を3つ紹介します。
- 土地や建物は同一の名義しないと、利用時に共有名義人の同意が必要になる
- 完了後は、相続人全員の合意が必要になりやり直しがきかない
- 相続手続き完了後、遺言書が見つかったら再度やり直しになる
注意点1:土地や建物は同一の名義しないと、利用時に共有名義人の同意が必要になる
まず初めに「土地や建物は同一の名義にする」です。
土地や建物の不動産は、相続人1人に相続登記(名義)させるべきです。
共有名義になると、不動産を利用するのに不便になってしまうからです。
例えば、土地を担保にし住宅ローンを組みたいと思っても、単独ではできず共有名義人の同意が必要になるのです。
なので、相続財産に不動産がある場合、相続人1人に相続させた方がいいでしょう。
注意点2:完了後は、相続人全員の合意が必要になりやり直しがきかない
2つ目は「相続手続きはやり直しがきかないので注意が必要」です。
相続手続きが完了すると、再度手続きをやり直すのは不可能です。※新たな財産が発見したなどの例外は除く。
なぜなら、一度完了してしまった相続手続きは、相続人全員の合意がなければやり直しできないからです。
各相続人から合意を貰うのは不可能と思ったほうがいいでしょう。中には、以前の遺産分割の内容で満足している相続人もいます。
そのような相続人は、再度遺産分割をしたいとは思わないはずです。
なので、相続手続き完了してしまった場合、やり直しをするのは難しいと考えるべきです。
注意点3:相続手続き完了後、遺言書が見つかったら再度やり直しになる
3つ目は、「完了後、遺言書が見つかった場合」です。
相続手続きが完了後、または手続き中に遺言書が見つかると大変です。
遺言書は、遺産分割に優先して法的効力が及びます。
つまり、銀行解約など手続きを進めていたとしても、遺言書が発見されてしまえば、遺言書に書かれた内容を優先し手続きを進めなければいけません。
相続手続きが終わって一安心と思っている矢先に、遺言書が見つかり一から相続手続きが始めるとなったらどうでしょう。また、大変な思いするのは想像できると思います。
そうならないために相続手続きを開始する前に故人の遺言書がないか必ず探してから手続きは進めるようにしましょう。
遺産分割がまとまらないなら、時間を空けて気持ち落ち着かせる
上記の注意点を踏まえても、遺産分割がまとまらない場合一度時間を置くのもいいでしょう。
なぜなら、遺産分割中は各相続人の思いがぶつかり、ヒートアップしている状態です。
そのような状態で、まとまるはずの内容もまとめるのは不可能です。
相続手続きに決まった期間はありませんので、一度時間を気持ちを落ち着かせてから遺産分割するのも有効です。
ただし、相続税が発生する場合は、納付する期間(相続開始10ヶ月以内)が決まっているので注意が必要です。
時間を空けてもダメなら調停へ!でも、おすすめはできない
時間をおいても遺産分割がまとまらない場合、裁判所を通した調停分割や裁判分割もあります。
しかし、この方法はおすすめできません。
手続きが完了するのに数か月~数年掛かってしまうからです。そればかりか、相続人同士が互いにいがみ合ってしまい、その後の関係も崩壊してしまうでしょう。
そうならない為にも、専門家に相談しながら相続手続きを進めることを考えるべきです。
専門家は、専門的な知識を有してアドバイスしますので、相続手続きがスムーズに進めていけるようになります。
事前に信頼できる専門家に相談してみるのもいいでしょう。
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