大切な人が亡くなり、お葬式やあいさつ回りなどが終わってやっと休めると思ったのもつかの間、今度はさまざまな手続き(相続手続き)が待っています。
被相続人の財産に土地があれば、名義を変更するための相続登記手続きなど。
そんな手続きには、期限が決まっているものもあり過ぎてしまうと取り返しがつかない場合…なので注意が必要です。
例えば、相続放棄手続きなどがそうです。相続財産に多くの借金があると分かっていたら、財産を引き継がないかもしれませんよね。
相続放棄は3ヶ月以内です。その間に手続きしなければ、必要のない借金まで引き継ぎ生活が変わってしまうことだってあります。
このように、被相続人が亡くなったらさまざまな手続きあり、中には期限があるものもあります。
今回は、相続手続きの期限ある手続きと期限がない手続きを紹介します。
そもそも相続手続きに期限あるのか?知らない人もいる!
相続手続きに期限があるのか知らない人は多いです。

上記の画像は、ヤフー知恵袋を抜粋したものです。
遺産相続に期限があるのでしょうか?と質問しているのが分かりますね。
意外にも相続手続きに期限があるのか知らない人もいるのです。
遺産分割協議に期限はない。それ以外の期限がない2つの手続きを紹介
それでは、先に期限がない手続きについて紹介します。
相続手続きで遺産分割協議書という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
遺産分割協議は、被相続人の財産を共同相続人で話し合い分割することです。その協議した内容を書面に残すのが遺産分割協議書になります。
さまざまな手続きで必要になる遺産分割協議書は、法律で決まった期限はありません。
相続手続きを進めようと思ったときに、遺産分割協議書を作成すれば問題ありません。
それでは、更に期限ない手続きを2つ紹介します。
期限がない手続き1:不動産の名義を変更する相続登記手続き「追記」義務化へ
1つ目は、不動産の名義を変える相続登記手続きです。
被相続人の財産に不動産があることがほとんどだと思います。
当事務所が受けた相続手続きでも、9割以上が財産に土地や建物の不動産がありました。
以前なら不動産の相続登記には、期限がありませんでした。
しかし
【追記】
相続登記は2024年4月1日から義務化。
不動産の財産を持っていた場合、今後は必ず名義変更が必要になるので注意が必要です。
期限がない手続き2:被相続人の銀行預金の解約手続き
銀行預金の解約も相続手続きで必ずあります。
その銀行預金の解約手続きも期限がありません。
ただし、期限がないからといって10年以上放置してしまうと「休眠口座」になってしまいます。
休眠口座とは、長年取り引きや引き出しがない預貯金口座です。そのような口座は、休眠預金等活用法の元、民間公益活動に使用されます。
休眠口座になったとしても、所定の手続きを踏めば解約できるので問題ありません。
相続手続きで期限がある7つの手続きを紹介
前項で期限がない手続きを紹介しました。
それでは、次から期限がある手続きを紹介します。
期限がある手続き(相続手続き)一覧
- 相続放棄→3ヶ月以内
- 準確定申告→4ヶ月以内
- 相続税申告→10ヶ月以内
- 遺留分侵害請求権→1年以内
- 埋葬料・葬祭費の請求→2年以内
- 生命保険の請求→3年以内
- 遺族年金の請求→5年以内
上記の表で期限が短い順に並べました。
それでは、以下で簡単に1つ1つ解説します
期限1:負の財産を知ったら相続放棄の申請は3ヶ月以内
まず1つ目は、相続放棄です。
冒頭でも出てきましたが、相続放棄の申請には期限があります。
相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、管轄裁判所に申請しなければいけません。

相続の開始があったことを知った日とは、被相続人が亡くなった日ではなく、自分が相続人になったことを知った日です。
例えば、第一順位の相続人が放棄し、何らかの通知により第二順位の自分に相続権が回ってきたことを知った日ということです。
その知った日から3ヶ月以内に相続放棄の申請をする必要があります。
期限2:所得金額の準確定申告は相続開始後、4ヶ月月以内
2つ目は、準確定申告です。
準確定申告とは、被相続人が1月1日~亡くなった日までの所得に対して、所得税の確定申告をすることです。
そのような準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に税務署に申告しなければいけません。
期限3:相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内
3つ目は、相続税の申告です。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日から10ヶ月以内です。

相続税が掛かる目安は、基礎控除額(3000万円)が超える相続財産があるかになります。
超えるようなら、専門家などに相談してみましょう。
多く払いすぎた相続税の還付請求は5年10ヶ月以内
相続税繋がりで、相続税の還付請求についても紹介しておきます。
相続税の還付請求とは、相続税の申告時に何らかの理由で多く払ってしまった税金を返金してもらう手続きです。
この還付請求は、申告後、5年以内にしなければいけません。
注意しなければいけないのが、誤って余分に相続税を収めたとしても税務署から通知されることはないので注意が必要です。
相続税の計算が間違っていたなどあった場合は、税理士に相談してみましょう。
期限4:法定相続分が侵された時の遺留分侵害請求は1年以内または10年以内
4つ目は、遺留分侵害請求です。
遺言書などで、遺留分の侵害があれば請求できます。
その遺留分の侵害請求は、侵害があったことを知った日から1年以内です。また、相続の開始から10年以内です。
遺留分侵害請求は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所で請求します。
期限5:亡くなった人を埋葬する埋葬料・葬祭費の請求は2年以内
5つ目は埋葬料・葬祭費の請求です。
埋葬料は、被相続人が会社員でけんぽ協会や組合健保などに加入している際に支給されるものです。
また、フリーランスや自営業者なら、国民健康保険(国保)から葬祭費として支給されるものです。
どちらも、一律5万円となっています。
そのような埋葬料・葬祭費の請求は被相続人が死亡した日から2年以内です。
期限6:被相続人が加入していた生命保険の請求は3年以内
6つ目は、生命保険の請求です。
被相続人が加入していた生命保険の請求は、3年以内です。

第一生命では、「3年間請求がない場合には消滅します。」と書かれていますね。
しかし、加入している生命保険会社で請求期限がないところもあります。その証拠を以下で紹介します。

保険会社最大手の日本生命では、「請求期限はない」となっているのが分かります。
このように、被相続人が加入している生命保険会社によって請求期限が違っていますので、調べる必要があります。
期限7:市役所などに請求する遺族年金は5年以内
最後は遺族年金の請求です。
遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類に分かれます。遺族基礎年金は、市役所が窓口になっています。また遺族厚生年金は、年金事務所が窓口です。
どちらも、請求期間は5年以内です。その期間が過ぎてしまうと時効により請求の権利が消滅するので注意が必要です。
相続手続きを放置し続けると起こり得る大きな2つの問題
ここまで、被相続人が亡くなってから行う手続き(相続手続き)の期限について紹介してきました。
最後は相続手続きを怠ってしまうと起こりえる問題を紹介します。
先ほどでも紹介した相続放棄手続きなどです。
相続財産がプラスとは限りません。相続財産を調べたら借金のが多く負の財産だったということはよくあります。
当事務所でも、多くはありませんが年間で数件相続放棄のご相談が来ます。
相続開始を知ってから、3ヶ月放置してしまうと財産を引き継いだ(単純承認)ことになってしまいます。
相続手続きを放置してしまうと、大変なことが起きてしまうので注意しなければいけませんね。
このようにならない為に相続手続きを放置してしまうともっとも起こりえる問題を2つ紹介します。
問題1:被相続人が亡くなると凍結され銀行預金が使えない
まず初めに銀行預金の凍結です。
被相続人が死亡した時から、被相続人の銀行預金は凍結され預金の出し入れができなくなってしまいます。
被相続人の預貯金で生活している相続人だった場合、お金が引き出せないのは死活問題ですよね。
※現在は、民法改正(2019年7月1日施行)により、「相続預金の払戻し制度」が設立され、一定の手続きがすれば払い戻し可能になりました。
銀行預金の解約手続きには期限ないのですが、早めに手続きしておくのがおすすめです。
問題2:相続登記しなければ、土地の売買などの処分ができない
もう1つは、不動産の相続登記手続きです。
相続登記手続きも期限はありませんが、問題が起きやすい1つです。
例えば、相続財産の不動産を、売却し現金化も考えている相続人もいるのではないでしょうか。
しかし、不動産の名義を変えなければ売却するのは不可能です。
売却などを考えているならば、必ず相続登記手続きが必要になってくるので注意しましょう。
相続手続きは、一気に進めるのがおすすめ
以上で、相続手続きの期限について終わりです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
当事務所で相談に来られる方は、期限がない銀行預金の解約や相続登記などの相続手続きが多いです。
なぜなら、期限がないので安心してしまっている方がほとんどだからです。
しかし、相続手続きは一気に進めた方が楽に済みます。
部分的に進めてしまうと、何度も相続人たちで集まる機会が増えてしまい非常に面倒になってしまうからです。
そうならない為にも、相続手続きは1回で終わらす気持ちで進めるのがいいでしょう。
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