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相続手続きに専門家は必要ない?「10の行程作業」と起きる「3つの問題」とは!

相続手続きは専門家に頼まなくてもできるのか。

一昔前なら専門家の力を借りなければ進められないと思っていたが、現在、インターネットの普及により、相続手続きに関する情報が簡単かつたくさん手に入るようになりました。

というのも、相続相談を受けていると結構な確率で手続きをお客さん自身で進めていることが多いのです。

それは「インターネットで調べて、取れる書類は集めました。」

明らかに、インターネットで分からない部分や理解できない部分を相談中で聞きたいと思っている人がいます。

専門家としては、残念な気持ちになってしまうのですが…不明点を聞き出して、解決方法を提示し、専門家に頼まなくても手続きできることをお伝えしています。

遺産分割協議書の作成書類は、インターネットで無料ダウンロードの利用を進めています。

このように、相続手続きは、インターネットを使って根気よく進めていくことで専門家に頼らずに完了できてしまうのです。

それでも、相続手続きの完了させるためには、多くの作業をしなければいけません。

市役所に戸籍を取りに行く。取得した戸籍から相続人を割り出す。

今回は、そんな相続手続きで必要な10の工程を紹介します。

また、相続手続きを怠った場合に起こり得る問題も紹介します。

それでは、今回も行ってみましょう。

相続手続きは大変!10の工程を紹介

それでは、相続手続きで行う10の行程作業を以下で紹介します。

  • 行程1:書類取得及び相続人調査
  • 行程2:財産調査
  • 行程3:遺言書調査
  • 行程4:遺産分割協議
  • 行程5:遺産分割協議書の作成
  • 行程6:相続人関係説明図の作成
  • 行程7:登記申請の手続き
  • 行程8:銀行預金の解約手続き
  • 行程9:相続税の手続き
  • 行程10:その他の相続手続き

行程1:書類取得及び相続人調査

行程1は「書類取得及び相続人調査」です。

相続が発生したら、まずは初めに誰が相続人になるのか調査する必要があります。

「えーっと相続人は…妻の私と娘2人だけだから計3人ね」と推測で決めていけません。必ず、被相続人(死亡した人)の戸籍謄本から相続人を確定させる必要があります。

相続人を調査せずに進めてしまい、手続きは完了後…万が一、新たな相続人が出てきてしまったら、再度相続手続きをやり直すはめになり兼ねません。

ですので、故人の戸籍を取得し相続人を確定する作業を行ってください。

被相続人の戸籍類は、「出生から死亡」までです。本籍地を移転させていれば、その本籍地があった市役所に取得しなければいけないので注意。

相続人の戸籍も取得も忘れずに。相続人の戸籍は、現在の本籍地がある戸籍で問題ありません。

被相続人出生から死亡の戸籍
相続人現在の本籍地がある戸籍

「取得戸籍」

行程2:財産調査

行程2は「財産調査」です。

相続人たちで、被相続人の財産を引き継ぐことになるので、ありとあらゆる箇所から探し出しましょう。

例えば、現金預貯金や不動産や車や株式など

考えたくありませんが、借金も財産になるのでしっかり見つけ出しておくが重要です。のちのち多額の借金があったなんてことになれば、大問題になってしまうので(;゚Д゚)

また、以下で紹介する遺言書があれば、生前にエンディングノートなどを作っている可能性もあるので、それも探してみるといいですよ。

エンディングノートには、被相続人が書き残した情報が多く書かれていますので、スムーズに手続きを進められるきっかけにもなります。

行程3:遺言書の調査

行程3は「遺言書の調査」です。

被相続人が、生前、遺言書を作成している可能性もありますので、相続手続きを進める前に必ず探してください。

遺言書の効力は、これから進める遺産分割に優先して効力が及ぶからです。

相続手続き完了後、遺言書が発見された場合、再度相続手続きをやり直すこともあるので注意。

相続人全員の合意がない限り、遺言書の内容を優先。

遺言書は、被相続人の想いが詰まった物です。なので、遺言書の有無も確認してから相続手続きに進みましょう。

※遺言書が発覚したら、作業が異なってきますので注意が必要です。

行程4:遺産分割協議

行程4は「遺産分割協議」です。

遺産分割協議とは、被相続人の財産を、相続人全員で話し合って財産を分け合う作業です。

相続人が多くなればなるほど、話し合いは難航してきます。ましてや、遠い親戚が相続人となってしまったら…

また、各相続人が好き勝手主張したら誰に何を引き継がせるのか話がまとまらなくなってしまうので、注意が必要です。

行程5:遺産分割協議書の作成

行程5は「遺産分割協議書の作成」です。

相続人たちで遺産分割の協議が済んだら、決まった内容を書面(遺産分割協議書)で残します。

手続き完了後、言い争いの紛争を予防するためと不動産の相続登記や銀行の解約手続きに遺産分割協議書が必要になるからです。

出典元:テンプレートの無料ダウンロード

上記の画像のように各相続人が取得する財産をまとめたのが遺産分割協議書です。

テンプレートの無料ダウンロード

専門家に頼まなくても、無料ダウンロードできるテンプレートに使って作成すれば、素人でもあっても問題ありません。

なので、遺産分割の内容が決まったら、遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書の押印は、相続人の実印でおしてください。

なので、その後相続登記手続きなどで印鑑証明書も必要になるので、相続人全員分を取得しておきましょう。

行程6:相続人関係説明図の作成

行程6は「相続人関係説明図の作成」です。

被相続人と相続人の関係を表した図です。下記のような枝分かれした家系図を想像すると分かるのではないでしょうか。

出典元:法務局HP

相続人関係説明図の作成は、行程1で相続人調査した情報を元に確定した相続人を書き写していきましょう。

相続人関係図は手書きでも問題ありません。また、無料ダウンロードも可。

この相続人関係説明図も、不動産の相続登記手続きなどで必要になります。

行程7:不動産の相続登記手続き

7つ目は「不動産の相続登記手続き」です。

相続財産に不動産があることがほとんどです。その場合、相続登記手続きを得て相続人の名義に変更しなければいけません。

申請者は、不動産を引き継ぐ相続人になります。ですので、相続人全員がするわけではありません。

相続登記をする場合、管轄する法務局で相続可能です。

法務局HP

ちなみに、相談は予約制なので注意が必要です。

【相続登記に必要な書類】

・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書(有効期限はありません)
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
・相続人全員の現在戸籍謄本
・不動産を取得する相続人の住民票
・不動産の固定資産の評価証明書

※すべて市役所で取得可能。

行程8:銀行預金の解約手続き

行程8つは「銀行預金の解約手続き」です。

被相続人の銀行口座の解約手続きも必要です。

被相続人が死亡した時から、口座は凍結されてしまい、相続手続きが完了しなければ引き出すことができません。※民法改正により一部解約可能。

被相続人が一家の大黒柱だったということもありますよね。そんな時、葬式代や生活費ですぐにお金が必要になることも。

なので、遺産分割協議書が作成できたら、銀行解約の手続きも早急にすることをおすすめします。

必要書類は、相続登記手続きに揃えた書類で問題ありません。各銀行によって追加資料が必要になることもあるので注意。

行程9:相続税の納付手続き

9つ目は「相続税の納付手続き」です。

相続財産が基礎控除額を越えた場合、相続税を納めなければいけません。

基礎控除額は「3000万円+600万円×相続人数」です。

計算して、相続税が掛かると思ったら相続税の手続きが必要です。

ただし、相続税申告を自分で行うのは困難です。細かい数字の計算や納付期限が決まっているからです。

なので、相続税の申告がある場合は、専門家に頼んだ方がいいでしょう。

行程10:その他の相続手続き

最後の行程は「その他の相続手続き」です。

上記に挙げた手続き以外にもさまざまな相続手続きがあります。

例えば、株式や共済や自動車なども相続手続きの対象です。

このような、財産も解約及び名義変更の手続きをしなければいけません。

相続登記手続きに揃えた書類があれば、ほとんど揃っているので、手続きを進めるのにそこまで難しいわけでありません。

株式なら、株券を発行している証券会社。車なら管轄の陸運局に問い合わせてみましょう。

相続手続きしないと起こり得る3つの問題

以上で10の行程作業は終了です。結構、やることが多くて面倒だと思ったのではないでしょうか。

時間があったとしても、いざ動くとなると大変ですよね。

書類の取得、他の相続人へ連絡など。

そもそも、誰が中心となって相続手続きを進めるのか。

このような理由から、手続きが面倒になってしまい先延ばしている相続人もいます。

しかし、相続手続きを済ませないと様々な問題が起きます。

ここで、相続手続きを先延ばすことによって起こり得る問題を3つ紹介します。

  • 問題1:固定資産税の問題
  • 問題2:相続税の問題
  • 問題3:借金の問題

問題1:固定資産税の問題

まずはじめの問題として固定資産税の支払いです。

相続財産に不動産があれば固定資産税が掛かります。

その固定資産税は、不動産を引き継ぐ相続人が決まっていなくても、払わなくてはいけません。

では、市役所の税務課は、誰に固定資産税の支払いを要求してくるのか…被相続人と同居していた相続人もしくは、相続人となり得る推定相続人へ納付書を送ってきます。

納付書を送られてきた相続人は嫌でも、払わなければいけないですよね。

しかし、不動産を引き継がない場合、それまでに支払った固定資産税分に納得いかず、本来負担するはずだった相続人ともめる原因になります。

また、納付を怠れば滞納処分になり、それが長期に渡れば最悪不動産の差し押さえということもなり兼ねませんので注意ですね。

問題2:相続税の問題

次の問題は相続税の支払いです。

相続税の支払いは、相続開始から「10か月」です。

その間に相続手続きを完了させ、相続税を納付しなければいけません。※相続税が掛かる場合。

遺産分割がまとまらなければ、支払期限はあっという間に過ぎています。

イシマサが相続相談を受け、相続税が掛かると判断した場合、優先に相続税の手続きを進めるようにしています。

相続手続きをほっておいて、相続税を掛かることを知らなかったから関係ないでは済みませんので、注意が必要ですね。

問題3:借金の問題

最後の問題は、被相続人が残した財産が、マイナスの財産だった時です。

必ずしもプラスの財産ばかりとは限りませんよね。いざ財産調査したら借金だらけだったということも。

中には、借金が多すぎてどこから借りているか分からないという相続人もいました。その後の手続きも考えて弁護士を紹介しました。

このように借金のほうが多いと思ったら、相続放棄を考えることも必要です。

ただし、相続放棄の手続きは、相続の開始を知った時から3か月以内にしなければいけません。

相続手続きをほっておいても期間はドンドン経過していきます。いざ相続手続きを開始して、マイナス財産が発覚しても、放棄ができず借金を背負う可能性もあるので注意しなければいけませんね。

まとめ

読んでみていかがでしょうか。思った以上に相続手続きを大変ですよね。

インターネットを使えば、手続きを完了することも十分に可能です。

しかし、完了後、新たな相続人の発覚や遺言書の発見などがあった場合、再度相続手続きすることになってしまうこともあり得ます。

そのような問題が起きてしまえば、時間と労力は計り知れません。何よりも、もう「やりたくない」と思ってしまいますよね。なので、専門家に依頼するのも1つ。

今回はこれで以上です。

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