以前、実家に帰省した際に父が「公正証書」で遺言書を書いた。と言っていたけれども…いざ相続が始まり、どこを探しても見つからないなんてことはよくあります。
遺言書を書いている方は、誰も分からない場所に閉まっているのが多いです。
ただし、見つからないからと言って相続手続きを進めてしまうのは問題です。
遺言書は、故人が残した最後のメッセージにもなります。
また法的な効果もあり、遺産分割に優先して効力が及びます。
なので、遺言書は財産を分ける重要な物になるのです。
そんな公正証書遺言が紛失したとしても、公証役場に履歴が残っていますので、探すことが可能です。
今回は、そのことも含めて公正証書遺言があるときの相続手続きについて詳しく解説します。
公正証書遺言の有無は、公証役場で確認する
まず初めに、先ほどお伝えしました。公正証書遺言が見つからない場合の対処方法です。
公正証書遺言は、公証役場で遺言者(作成した人)が120歳まで保管管理しています。
なので、最寄りの公証役場で、遺言書の有無が確認できるのです。
ただし、遺言書の写しは作成した公証役場でしか請求できないので注意が必要です。
例えば、私の受けた案件で茨城県の土浦公証役場で遺言書の有無を請求したら、作成した場所は新潟県の新潟公証役場だったことがありました。
その時は、新潟県に住んでいる相続人の方が、現地で請求してくれました。
このように、公正証書遺言は紛失したとしても公証役場で存在の有無や写しが請求できます。
それでは、以下で請求するための必要な書類を紹介します。
「公正証書遺言の有無の請求に必要な書類一覧」
- 遺言者の戸籍謄本(除籍)
- 遺言者と相続人の関係性が分かる戸籍謄本
- 請求する人の身分証明書(運転免許証,パスポート等)と認印
上記に挙げた一覧は、遺言者と繋がりがある相続人の方が必要になる書類です。
公正証書遺言ならば、検認が不要だから相続手続きが早い
次に公正証書遺言について簡単に解説します。
公正証書遺言は、公証人という公務員が遺言者の内容を聞き取り代理作成してくれる物です。
また公文書と扱われ真意性と証明力があり、安全性に優れているのです。
そんな公正証書遺言ですが、自筆証書遺言とは違い相続手続きがスムーズに進められます。
なぜなら、検認手続きが必要ないからです。
検認手続きとは、裁判所が相続人に対して遺言書の存在と内容を証明する手続きです。
検認手続きには、1ヶ月程度要してしまうため遺言の内容を執行するまでに時間が掛かってしまいます。
しかし、公正証書遺言ではそのような検認手続きが無くなるので、すぐに遺言内容の執行が可能になるのです。
遺産分割協議も不要になり、かつ書類も簡略化できる
また、公正証書遺言に関わらず遺言書がある場合、相続手続きが簡略化できます。
冒頭でもお話した通り、遺言書は遺言者の最後のメッセージと共に、遺言で書かれている内容は遺産分割に優先して効力が及びます。
例えば、相続人たちで話し合って遺産を均等に分けたとしても、遺言書に各割合が書かれていれば、遺言書の内容通りになるのです。
このように、公正証書遺言があれば相続人たちで話し合う遺産分割協議も必要もなくなり、相続手続きもスムーズに進められます。
さらに、遺言者の出生から死亡までの戸籍を取る必要なくなり、死亡時の戸籍のみで足りるので書類も簡略できます。
遺言書の内容を確認したら、遺言執行人の承諾を得て任せる
公正証書遺言の内容を確認したら、遺言執行人が設定されているか確認しましょう。
遺言執行人とは、遺言の内容を実行する人です。
公正証書遺言の場合には、ほとんどが遺言執行人を設定されています。
なぜなら、作成時、公証人が遺言執行人の設定を促してくれるからです。
遺言執行人が設定されていることで、遺言内容を確実に実行されるようになります
なので、公正証書遺言がある場合、内容を確認し遺言執行人の承諾を得て手続きを委任しましょう。
遺言者の財産を確実に実行!遺言執行人の手続きの流れを紹介
遺言執行人に指定された人には、相続人の方もいると思います。
いきなり、遺言執行人になったから手続きを進めてと言われても何をしたらいいか分かりませんよね。
なので、ここでは遺言執行人の流れを簡単に解説します。
遺言執行人の手続きの流れ
- 遺言執行人の承諾し、相続人に通知する
- 財産目録を作成し、相続人に提示する
- 遺言内容を実行する
簡単に説明すると遺言執行人は3つの作業をするだけになります。
しかし、3の遺言内容を実行するときに「不動産の不法占拠」や「認知の届出」や「相続人の廃除」などがあればその対応もしなければいけません。
また、相続登記や銀行解約があれば指定された相続人と一緒に各手続もする必要があるでしょう。
それでは、次からその各手続きに必要な書類を挙げておきます。
公正証書遺言の相続登記に必要な書類を紹介
まずは相続登記になります。
公正証書遺言の相続登記なら不動産を受け継ぐ相続人が単独で行えます。
以下が必要な書類です。
公正証書遺言の相続登記に必要な書類一覧
- 公正証書遺言書(正本又は謄本)
- 遺言者の死亡時の戸籍謄本
- 遺言者の住民票(除票)または戸籍の附票
- 不動産を相続する人の戸籍謄本
- 不動産を相続する人の住民票
- 不動産の固定資産税評価証明書(当年度)
公正証書遺言の銀行解約に必要な書類を紹介
次に銀行解約手続きになります。
銀行解約手続きは、遺言執行人がします。銀行に行き所定の書類に預金を引き継ぐ受遺者(相続人)の署名捺印(実印)をもらうことになります
【公正証書遺言の銀行解約手続きに必要な書類一覧】
- 相続届出書(銀行所定の書類)
- 公正証書遺言書
- 遺言者の戸籍謄本
- 遺言執行人の印鑑証明書(6か月以内)
- 遺言者の預金通帳・銀行カード
- 遺言執行人及び受遺者(相続人)の実印
相続税の申告は、特例によって必要書類が増えるので専門家に相談する
最後は、相続税の申告です。
相続税については、控除額がありますので必ずしも申告が必要とは限りません。
しかし、相続税が発生する場合、「配偶者の軽減税額」や「小規模宅地」等の特例によって必要な書類が増えます。
なので、専門家に相談または依頼するのがいいでしょう。
参考程度に以下で相続税申告に必要な書類を挙げておきます。
一方的な遺言の内容には気を付ける。遺留分に注意!
ここまでで公正証書遺言があった場合の相続手続きが分かったのではないでしょうか。
しかし、遺言の内容で注意しなければならないことがあります。それは遺留分です。
遺留分とは、相続人が法律上保護された相続財産を受け取る権利のことです。
例えば、遺言書の内容に「長男○○○○にすべての財産を相続させる」と書いてあったとしても、他の相続人は遺留分の財産を主張できてしまうのです。
遺言書によっては、遺留分を犯してしまっている内容もあるので注意が必要ですね。
遺留分に抵触している内容なら、他の相続人と連携して問題を解決していくことが重要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は公正証書遺言の相続手続きについて解説しました。
まずは、公正証書遺言があるか不明なときは、公証役場に遺言書の有無や写しの請求をすることが重要です。
有無を確認せずに、相続手続きを進めてしまうと大変なことになってしまいます。
遺言書は、遺産分割協議に優先して効力が発生しますので、再度相続手続きをしなければいけなくなってしまいます。
そうならない為にも、公正証書遺言に限らず遺言書の有無を確認してから相続手続きを開始しましょう。
そして、公正証書遺言が存在することが分かったら、遺言執行人の承諾を得て遺言内容を確実に実行するべきです。
遺言執行人に指定された方が、相続手続きの進め方が分からない場合、信頼できる専門家に相談するか思い切って依頼することも検討してみるといいです。
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