普通に生活している中で印鑑証明書を見る機会はそう多くありませんよね。もし、あったとしてもマイホームを購入するときくらいかな。
しかし、行政書士になると印鑑証明書を見る機会は多くあります。遺産分割協議書に相続人全員から実印で押印してもらいます。それに伴い印鑑証明書も頂くケースがあるからです。
そのような印鑑証明書ですが、相続手続きでは欠かせない書類の1つです。
今回、相続手続きを中心に行いたいと思っている行政書士をターゲットとして、印鑑証明書についてご紹介します。
実印の証明!実印と印鑑証明書の関係性
まず初めに印鑑証明書と実印の関連性について簡単に説明します。
実印とは、印鑑そのものを指します。例えば以下のようなものです。
この印鑑を使って市役所で登録した物が印鑑証明書になります。
相続手続きを進めていると、相続人の中に印鑑を登録していない人がいるので注意が必要です。その場合、印鑑証明書の発行ができません。
例えば被相続人の配偶者の奥さんとか。
遺産分割協議書の押印時、印鑑登録していなかったと慌てないように、そのような人には早めに印鑑登録しておくようにアドバイスしておきます。
その時、余談の1つとして「印鑑登録は、印鑑の種類に決まりはないので、最悪100円ショップで売っている物でも問題はないのですよ」など、場を和ますために話したりしています。
それでも、実印にする印鑑は大切なときに利用するものであり、偽造しにくい印影の印鑑で登録することを勧めています。
話がそれてしまいましたが、印鑑証明書は実印を第三者に証明するための書類になります。
遺産分割協議書では、「相続人全員分」の印鑑証明書が必要になる
つぎは遺産分割協議書と印鑑証明書の関係について解説です(^^♪
たぶん、相続手続きを勉強をしている先生も多いですよね。相続手続きは、被相続人の財産を相続人たちで遺産分割をしなければいけません。
その遺産分割で決まった内容を書面で残すのが遺産分割協議書。
遺産分割協議書作成が行政書士の仕事。
その遺産分割協議書に書いてあることに「間違いありません」という同意の意思表示をさせるため、相続人全員の実印を使って押印してもらいます。
その押印が本人で間違いないことを確認するために、印鑑証明書が必要になんですね!(^^)!
相続手続きで印鑑証明書が必要になる3つのケース
遺産分割協議書で必要な印鑑証明書ですが、相続時の他手続きでも必要になります。
相続手続きで、よくあるケースは以下の3ケースが多いです。
- 不動産の名義変更するためを相続登記手続きをするとき
- 金融機関などの解約手続きをするとき
- 相続税の申告をするとき
それでは、簡単に解説してきます。
ケース1:不動産の名義変更するためを相続登記手続きをするとき
相続手続きを受注したら、被相続人の財産に土地や建物などの不動産があることがほとんどだと思います。
そのような不動産は、相続人に名義を変えるため相続登記手続きをする必要があります。
その相続登記手続きで、遺産分割協議書と印鑑証明書が必要になります。
上記の画像は、法務局HPのものです。しっかり「相続人全員の印鑑証明書が必要」と書かれていますね。
なので、相続登記手続きに、印鑑証明書が必要になります。
ケース2:金融機関などの解約手続きをするとき
次に、金融機関の預金解約手続き、証券会社の払戻しの時にも、印鑑証明書が必要です。
以下で、その資料を挙げておきます。
みずほ銀行とSMBC日興証券を例に挙げました。ここでも「相続人全員の印鑑証明書」が必要です。
ケース3:相続税の申告をするとき
最後は、相続税の申告時も印鑑証明書が必要です。
国税庁HPの③で「相続人全員の印鑑証明書」と書かれているのが分かりますね。
ですので、相続税申告でも印鑑証明書が必要です。
印鑑証明書が必要ないケースはどんな時?
上記3つのケースで印鑑証明書は、必ず必要になることが分かったと思います。
それでは、印鑑証明書が必要ないケースもあるので、それも紹介しておきますね(^^)
例えば、相続登記手続きで「遺言書があるケース」「相続人が1人」「調停調書・審判書があるケース」の場合は、相続手続きで印鑑証明書が不要です。また、相続放棄手続きでも印鑑証明書が不要です。
このようなケースでは、印鑑証明書が不要になるときがあります。
しかし、銀行解約手続きなどの他手続きでは「遺言書があったとしても」印鑑証明書が必要になるケースがあるので注意が必要です。
「有効期限や必要枚数」など気になる点は!印鑑証明書について
ここまでで印鑑証明書が必要なケースと必要がないケースが分かったと思います。
次から印鑑証明書の「有効期限や必要枚数」など気になる点をご紹介します。
全員分の印鑑証明書は必要?
相続手続きで、印鑑証明書は相続人全員分が必要になるのか。これはケースバイケースです。
相続人が1人だったら必要ない場合もあります。
ただし、遺産分割協議書を作成したら、確実に全員の印鑑証明書が必要になると思っていいでしょう。
なので、相続手続きのご相談がきたら、印鑑証明書の必要性をしっかりと伝えるようにするといいですね。
必要となる印鑑証明書の枚数は?
次に枚数です。
印鑑証明書の枚数は、お客さんの相続ケースによって必要になる枚数も変わってきます。
例えば、銀行解約手続きを3件、同時進行したいなら相続人全員各3枚ずつ必要になります。
相続手続きが不動産だけなら、相続登記手続きで必要になる相続人全員分1枚で済みます。
印鑑証明書の有効期限は?
3つ目は有効期限についてです。
相続登記手続きなど一部の手続きでは、有効期限はありません。
逆に銀行解約手続きなら6ヶ月以内と期限が決まっていることが多いです。
期限がまだあるから大丈夫と思わず、取得日が早い物を使うようにすると安全ですね。
私は遺産分割協議書の押印前、印鑑証明書の取得をお願いしています。
印鑑証明書は返してもらえる?
4つ目は、印鑑証明書の返却についてです。
相続手続きは、相続登記手続きや銀行解約手続きが重なるケースがあります。各手続きことにお客さんに頼んで印鑑証明書を取得してもらってもいいのですが、費用を抑えたいと思いますよね。
その時は、印鑑証明書が返却してもらえる原本還付をしましょう。
手続き先に原本還付の旨を伝えれば、返してもらうことが可能です。
経験談ですが銀行解約手続きは、各銀行によって原本還付ができるとことできないとこがあるので注意が必要。
なので、手続きを円滑に進めるため、私はお客さんに必要となる枚数の印鑑証明書を取るようにお願いしています。
印鑑登録はすぐにできるの?
最後は印鑑登録はすぐにできるのかについてです。
当事務所に相談に来られるお客様でも、実印を持っていない人がいることが結構あります。
印鑑登録は、市役所に実印を持っていき、1時間程度で登録でき印鑑証明書を発行してもらえます。
ただし、印鑑登録する印鑑(実印)は注文してから完成するまで数日掛かってしまうので注意が必要です。
なので、相談業務時に、お客さんには「相続手続きで印鑑証明書が必要になるので、実印を作っておいてください」と伝えるようにしておくといいでしょう。
まとめ
今回は、これで以上です。実務時の印鑑証明書について解説しました。
行政書士業務の1つ相続手続きでは、印鑑証明書はほとんどのケースで必要になるでしょう。
ただし、遺言書や調停調書などがある場合、必要がない時もあります。なので、しっかり相談者の内容を聞き取ることが大切ですね。
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行政書士を目指すきっかけは人それぞれだと思います。
それでも行政書士になりたいと目標や夢を持ったなら下記の記事を読んでください。
「行政書士を目指し食べていけるまでになった10年間の経験談」をまとめました。
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