遺言書を作成後、保管場所に迷っているのではないでしょうか。特に相続対策のために偏った内容ならなおさらですよね。
そのような意図があれば、遺言書を作ったことを知られたくないはずです。
遺言書の内容を知ってしまった相続人が思わぬ行動を出てしまうこともあり得ます。
例えば、自分に不利な内容だった場合、遺言書の改ざんや隠匿に繋がったりするかもしれません。
遺言者は、秘密にしたいと思うのも分かります。
しかし、誰にも発見されなければ、せっかく遺言書を作った意味が無くなってしまいますよね。
作成後は「どこに預けるのか」または「誰に預けるのか」が重要になってきます。
今回は、遺言書の保管場所と作成した人がどんな場所に保管しているのかを紹介します。
誰が見つけてくれるの?遺言書は、誰にも発見されないときもある
遺言書の保管場所も大切ですが、遺言者しか知らない場所に保管してしまうと発見されないままになってしまう可能性もあります。
手軽に作成できる自筆証書遺言ならなおさらです。
遺言書が発見されない理由は、さまざまですが作成後、受遺者(相続人)に伝えていない場合があります。
日本財団が行った遺言書に関する調査では、200人を対象に遺言書作成後、相続人へ遺言書の存在を伝ているかの結果を表した物が上記のグラフです。
見てみると6.5パーセントの方が「伝えていない」と回答していますね。
遺言書を考えている人は、内容を見られたくない、若しくは作成したことさえ教えたくないなど、誰にも干渉されずに作成するのです。
しかし、これでは相続人は遺言書があるのか分からないまま、相続手続きを進めることになってしまいますよね。
そんなことになったら、遺言者は悔やんでも悔やみきれないのでないでしょうか。
そうならない為にも、遺言書を作成したら信頼できる人へ伝えておくことも重要です。
公正証書遺言でも見つからなければ、効力は発生しない
自筆証書遺言よりも、公正証書遺言のほうが安心と聞いた人もいると思います。
その理由として、遺言書が紛失しても、公証役場で遺言書の原本を保管管理しているので発見されやすいと言われています。
しかし、遺言者が亡くなったからといって、公証役場は、市役所から死亡の通知が来るわけではありません。あくまでも、原本を保管しているだけで死後の把握はしません。
ですので、公正証書遺言で作成しても、遺言者が伝えておかなければ、相続人は遺言書の存在を知らないまま相続手続きを進めることになってしまうのです。
誰に渡しても法的な問題はないが、基本的に相続人か執行者に預ける
それでは、遺言書を作成した人について解説します。
遺言者の中には遺言書を預ける人によって、法的効力が変わってしまうと心配する人もいます。
赤の他人に渡してしまったら、せっかく書いた遺言書が実行されないのでは?と思ったりするかもしれませんが、法的効力に問題はありません。
しかし、知り合いでもない人に遺言書を預けたとしても渡された人は困ってしまうのが落ちですよね。
遺言者が、作成後、遺言書を預けるのは受遺者(相続人)か遺言執行者が多いようです。
遺言執行者とは、遺言者の死後、遺言書を速やかに実行する人です。
当事務所がサポートしたお客様も、遺言書作成後、大半が関係相続人に預けるか作成の旨を伝えています。また執行者は当事務所の専門家が請け負うことが多いので、そのまま遺言書を保管したりもします。
先ほどのグラフでも分かるように、遺言者の7割以上は遺言書を作成後、その存在を伝えていることがわかっていますので、相続人や執行者が多いです。
預けられた知人は、重圧感と責任感が重いと感じでしまう
遺言書を預けられた人には、遺言者と親しい友人の方もいるはずです。
そんな遺言書を預けられた人は、どうしていいから分からず、困っている人もいます。
どんなに親しい友人だったとしても、相続人が悲しんでいる時に遺言書を存在を打ち明ける重圧感と責任感が重いと感じてしまうようです。
また、そんな大事な遺言書を数年もしくは数十年も管理しなければいけないとなると…そのことを考えるだけでも不安になる友人の気持ちも分かりますよね。
親しい友人だから大丈夫と簡単に考えず、相手の気持ちも考えるようにするべきです。
預け先で困ったら、法務局の保管制度を利用する
遺言書の保管場所や預け先で困ったら、法務局の保管制度を利用するのもいいでしょう。
自筆証書遺言だけになりますが、令和2年7月10日からスタートした制度です。
自筆証書遺言を法務局が保管管理してくれる制度です。
法務局が内容の有効性は確認しません。
制度を利用することで、遺言書の有無が証明できるので相続時の検認が不要になるのと、保管してもらえるので紛失・隠匿などの防止ができるメリットがあります。
主に保管を中心とした制度になるので、遺言書を作成したら、相続人などに伝える必要があるので注意しなければいけません。
保管場所を間違うと改ざんの恐れがある!保管場所一覧を紹介
それでは、保管場所一覧を次項から紹介していきます。
ただ、保管場所を間違ってしまうと、改ざんなどの恐れもあるので注意が必要です。
もし一部の相続人が「○○○○へすべての財産を相続させる」などと書かれた遺言書が発見してしまったらどうでしょうか。
自分に不利な内容の相続人は、「遺言書なんか無ければ、遺産が貰えたのに…」と思うはずです。最悪の場合、証拠隠滅のため隠匿だってあり得ます。
そうなってしまったら、その後関係性だって崩れてしまうかも知れません。
なので、遺言書の保管場所や管理は慎重に決めなければいけないのです。
それでは、自宅内の保管場所と自宅外の保管場所と分けて紹介します。
自宅内の6つの保管場所
まずは自宅内の保管場所からです。
自宅内の保管場所は主に6つです。
自宅内の保管場所一覧
- 金庫
- タンス
- 机
- 仏壇
- 書斎
- 同居人(配偶者など)
1番は金庫が多いようです。当事務所が遺言書作成のサポートしたお客様も金庫に閉まっておく方が多いです。
ちなみに私も自筆証書遺言を作っていますが、書斎の机の引き出しにしまっています。
ただし、自宅内での保管は遺言書の管理が緩くなってしまうので、注意しなければいけないですね。
自宅外の6つの保管場所
次に自宅外の保管場所になります。
自宅外の保管場所も主に6つです。
自宅外の保管場所一覧
- 銀行
- 法務局
- 遺言執行者
- 後見人
- 行政書士などの専門家
- 親友や知人
自宅外の保管場所は、専門家に遺言書作成サポートを頼みそのまま保管もしてもらう人が多いのではないでしょうか。
当事務所でも、遺言執行人も兼ねて遺言書を保管管理を行っています。
先ほどの私自身が作った遺言書は、信頼できる知人(専門家)に自筆証書遺言の存在と執行人の旨も伝えています。
このように、自宅内保管と自宅外保管の両方を併用するのもいいでしょう。
銀行や専門家の遺言書保管サービスの費用は
ここからは、遺言書の保管サービスについて説明します。
遺言書の保管サービスとは、一定の費用を払うことで作成した遺言書の保管および執行(別途有償)などを行ってくれるサービスです。
そのようなサービスを利用することで、遺言書の紛失予防はもちろん、遺言者へ定期的な連絡を行うことで未執行の恐れを防ぐのが可能です。
費用として年間数千円で済むところから、数万円かかるところもあり様々です。
保管サービスを行っているのは、銀行だったり専門家になりインターネットで検索すれば見つかります。
専門家の保管サービスは比較的安く5,000円ぐらいから多い
専門家の保管サービスは、比較的安い料金で利用できます。
探せば、年間で3000円というとこもあります。
当事務所は、年間5000円で遺言書の保管サービスを行っております。ご注文いただいた方には、自筆証書遺言の内容確認や遺言執行のサポートなど相続手続きのお手伝いもしています。
また、遺言書の作成をご注文いただいたお客様には、無料で保管サービスを行っています。
このように、住まいの近くでも遺言書の保管サービスを行っている専門家がいると思いますので探してみるのもいいでしょう。
銀行は保管サービスのみでは注文できない。遺言作成とセットで100万円以上
銀行でも保管サービスは行っています。料金は年間6,600円前後とそこまで高くありません。
しかし、保管サービスのみの注文はできません。
遺言書作成から執行までセットになった商品を申し込まなければ、保管サービスを利用することはできないのです。
三井住友銀行の担当者に確認したので間違いありません。持ち込みの遺言書の場合、貸金庫をご利用くださいと言われてしまいました。
しかし、遺言書作成とセットになった場合、非常に高額になります。
上記の画像は、三井住友銀行の遺言信託サービスの商品です。100型と20型の2種類ありますが、どちらの商品も支払う金額は165万円と高額になっているのが分かります。
払う金額は高いのですが、その分メリットもあります。
例えば、遺言書を専門家に預けた場合、専門家が遺言者より先に死亡してしまえば、相続人に通知がされないなどの問題が起きる可能性もあります。
しかし、銀行なら早々倒産することはありませんので、安心して遺言書が執行されるメリットがあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、遺言書の保管場所などについて詳しく紹介しました。
遺言書を作成後、保管場所や預け先に注意しなければいけないことも分かったのではないでしょうか。
それでも、作成したことを知らせる方法を取っておかなければいけません。
せっかく作った遺言書が発見されないまま、遺言者の思いが伝わらなくなってしまうからです。
そうならない為にも、何らしかの方法は考えておくべきですね。
今回は以上です。
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行政書士を目指すきっかけは人それぞれだと思います。
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