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遺言能力は争いの原因!認知症の方が書いた遺言書は3つの観点から判断!

認知症の方が書いた遺言書の有効性が気になる人もいるのではないでしょうか。

昔からそのような状態で書かれた遺言書には、争いが生じる原因の1つになっています。

例えば、相続人同士が揉めてある相続人が、遺言者に自分の有利になるような遺言書を書かせてしまう。

何も知らない相続人は、当時の遺言能力について懐疑的に思い争うなど…このようなケースがあるのです。

私たち専門家でも遺言能力の有効性の判断については、ケースバイケースであり「絶対にこうだ」という確証ができないものです。

ただし、過去の判例から「医学的の観点」や「遺言内容の複雑性」などから遺言能力の優位性を高めることができます。

今回は、そのような遺言能力について詳しく解説します。

15歳から遺言能力が付く!自分の意志で遺言書作成が可能になる

遺言能力とは、どのようになったら備わったことになるのでしょうか。

第961条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

引用元:wikibooks

このように、遺言能力は民法961条で定めらています。

ですので、15歳になった者は、誰にも関与されることなく自分の意思で遺言書を作成できるようになります。

ただし、その年齢になったからといってすべての人に遺言能力があるとは限りませんので注意が必要です。

言葉が悪いですが、認知症や精神障害などの場合、遺言能力が制限される可能性があるからです。

すべての15歳の人が遺言能力があるとは限らない。事理弁識能力が問題になる

遺言能力が制限される場合は、事理弁識能力があるかが問題になってきます。

その事理弁識能力とは、以下で定義されています。

ある物事実態やその考えられる結果などについて理解でき、自ら有効な意思表示ができる能力

引用元:Weblio 辞書

事理弁識能力とは、自らの意思で行った結果(物事)が理解し判断できる能力のことです。

例えば、自分の意思で、財産を処理するために遺言書を作成するなどがそれにあたりますね。

事理弁識能力があるかの判断については普通の人ではできません。医師などによる医学に精通している専門家の判断が必要になります。

被補助人や被保佐人や成年被後見人など遺言能力はどうなる

事理弁識能力が制限される人は、制限行為能力者になります。

また、制限行為能力者には、重度のものから軽度のものに分かれているのです。

被補助人(軽度)→被保佐人(中度)→成年被後見人(重度)

矢印の方向にいくにつれ、事理弁識能力が重度になってきます。

被補助人の方は、比較的に軽度であり一部の法律行為が制限されるようになっています。

例えば、不動産の売買などが重要な法律行為になり制限される可能性があります。

しかし、その他の行為…生活に必要な物を購入するなど、普通の人と同じように法律行為を行うことができます。

このように、制限行為能力者だからといって事理弁識能力がないと判断されるのではなく重度なものから軽度なものによって変わります。

被補助人や被保佐人は、自分の意志で遺言書が書ける

それでは、制限行為能力者には遺言能力が無く遺言書が残せないのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

先ほど、民法961条で書いてあった通り

15歳に達していれば、原則遺言を残すことは可能です。

ですので、制限行為能力者であっても、民法が適用され遺言書は作成可能です。

ただし、すべて制限行為能力者が遺言を残せるわけではありません。自分の意思で作成ができるのは、被補助人と被保佐人に限ります。

上記の2つの制限行為能力者は、事理弁識能力が軽度ということもあり、遺言者の単独で作成できるのです。

成年被後見人は「医師2名の立会いの下」遺言書作成が可能!

上記以外の制限行為能力者「成年被後見人」は、単独で遺言書を作成するのは不可能です。

成年被後見人は、極度の認知症や精神障害があり判断能力が十分でない状態のことです。

例えば、物事の判別ができないなど、1人では生活困難であり支援者の力を要する場合です。

そのような成年被後見人が遺言書を残す場合、民法で要件が定められています。

第973条

1.成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時においてw:遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。

2.遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。引

用元:wikibooks

民法973条では、成年被後見人が症状が一時回復時に、医師2人の立会いの下遺言が可能と書いてありますね。

一時回復した時とありますが、あり得るという前提で可能性は低い捉えたほうがいいでしょう。

遺言書作成後、遺言能力について揉める原因の1つになることは、お医者さんも知っているので医師も遺言書に署名押印はする可能性は低いと考えるべきです。

やってはいけない!後見人は、遺言書の代理作成はダメ!

制限行為能力者には、その者を補佐する者として後見人が付きます。

その後見人が、制限行為能力者に変わって遺言書を代理作成することができるのかという疑問が起きます。

しかし、後見人が制限行為能力者(遺言者)に代わりに遺言書を作ることはできません。

代理作成された遺言書は無効であり、関係相続人から偽造の疑いが掛けられる可能性もあるので絶対に行ってはいけません。

データで分かる高齢者の認知症は今後も増える

認知症を患った高齢者も制限行為能力者になるので注意が必要です。

その認知症も今後増えると見込まれます。

出典元:内閣府HP

内閣府のデータによれば゙…65歳以上認知症の数は2012年で462万人と65歳以上の高齢者の約「7人に1人」であったのが、約50年後の2060年には約「3人に1人」が認知症になるとのデータになっていますね。

現在の日本は、超高齢化社会と言われているので、このデータも間違いではありません。

このように、今後、認知症が増えていくことになるでしょう。

認知症や精神障害(うつ病)でも遺言書作成が可能な場合がある

認知症を患っている高齢者やその他精神障害により、意思能力(事理弁識能力)がないとされた場合、遺言能力もなしと判断され遺言書が作成ができな いい可能性もあります。

しかし、必ずしも遺言書作成ができないかと言われればそんなことはないのです。

認知症の検査をえて、結果、お医者から認知症との診断されても、法律上では「認知症だから遺言能力がない」と断定するわけではありません。

例えば、公正証書遺言作成などです。公証人の前では、意識がはっきりとしてたので、遺言書作成ができた。

このように、公証人といえども医学的に精通しているわけではないので、作成できてしまうこともあるのです。

遺言能力については、昔から争いの種になる

認知症の疑いがある高齢者が作った遺言書には、遺言能力について昔から争いの種になります。

納得がいかない遺言書を見た相続人が、遺言能力の効力について否定してくる可能性があるからです。

例えば、介護も兼ねて親と同居している相続人が、認知症の親を介護しているのをいいことに、都合のいい内容の遺言書を書かせてしまったなど

そのことを不審に思った他の相続人が遺言書の効力について無効を主張してきます。

最悪の場合、裁判まで発展し収拾がつかなくなってしまうことだってあるのです。

このように、遺言書を残しても、その後「当時、本当に遺言能力がある状態だったのか?」という遺言能力の有効性について争いが生じることがあるので注意が必要です。

裁判所の3つの観点から、遺言能力の判断をする

では、認知症などの制限行為能力者が作った遺言書がどうしたら有効になるのかと言います。

ただし、過去の裁判所の判決を元に、遺言書の確実性を高めることが可能です。

過去の裁判例では、3つの観点から判断しています

  • 専門的観点(精神医学)
  • 遺言内容の複雑性
  • 遺言書作成の動機、理由が遺言者と相続人、受遺者との関係性により合理性あるか

まず専門的な観点とは、診断書などを指します。診断書があることで遺言者の状態が分かり非常に有効な資料になります。

次に遺言書の複雑性です。作成当時、遺言書内容や効力を把握理解し、自分の意思で作ったものなのかが主点になります。

例えば、簡単な内容の遺言者なら理解しやすいですし、逆に複雑な内容なら理解するのは難しくなります。もちろん、判断能力が低下していれば、もちろん簡単な内容が理解できるので遺言能力があったとされやすいです。

3つ目は、作成した遺言書では分かりませんが、作成当時、相続人や受遺者などの関係性を考慮しても、遺言者の意思で作成することが望ましいでしょうと合理性がある遺言書なら裁判所の遺言能力があったと判断します。

例えば、遺言者に子2人がいたとします。

兄は、配偶者が亡くなった後も、生活の面倒や介抱などを積極的に行ってくれた反面、弟は何十年も顔も出さず借金など面倒ばかり掛けていた場合、遺言者が兄に財産残したいと思うのは合理性があり、意思能力があると裁判所も判断するでしょう。

しかし、この3つが揃ったとしても…必ずしも遺言能力があったとなるわけではないでの注意が必要です。

遺言能力の有無についてはケースバイケースになり、その時の状況に応じて裁判所の判断に任されます。

家族の中に認知症がいる場合の遺言書作成は?判断資料を集める

もし、家族に認知症の方がいる場合、遺言書を作るときの注意点として…まずは遺言能力が判断できる資料を揃えておくといいでしょう。

1つは、診断書など医学的専門家による資料です。また、その専門家よる意見者、鑑定書なども判断資料としては有効になります。

さらにあるといいのが、医療に掛かったカルテや施設などの看護記録なども有効な判断材料なるでしょう。

資料を集めたら、公正証書遺言で作成するのがおすすめです。

公正証書遺言は、2人の証人の立会いの下、権威性のある公証人が作成するので証明力が高い遺言書が作れます。

まとめ

読んでみていかがだったでしょうか。

遺言書は、15歳になればほとんどの方が単独で作成できます。

しかし、認知症や精神障害などで事理弁識能力に問題があった場合、制限行為能力者として遺言書作成にも制限が掛かってしまうこともあります。

そして、その制限行為能力者が作成した遺言書は、遺言能力の問題によって争いの種になる可能性があることも分かったと思います。

制限行為能力者が遺言書を作成するときは、判断資料を揃えた上で遺言書作成に臨むことをお勧めします。

今回は、以上です。

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