行政裁量の分野が苦手な人はたくさんいます。
同じような言葉があり迷ってしまいますよね。
私も、行政裁量の分野は行政法の中でも苦手な部類に入ります。そんな苦手な行政裁量ですが、問題も分かりにくい問題が多く出題されます。それでも正解を諦めてはいけません。
今回は、行政裁量の問題を例に出して正解を導き出せるように解説していきます。行政裁量の問題が苦手だと思う人は読む価値がある内容です。
それでは、いきましょう。
行政裁量は「羈束行為」と「裁量行為」が分かりにくい
行政法を勉強していると行政裁量という言葉が出てきますよね。その行政裁量ですが「裁量が認められる余地がない羈束行為」と「広く認められる裁量行為」に分かれています。
ここまでは大丈夫でしょうか?では、行政が行う行為が羈束行為に当たるのか裁量行為なのか正確に答えられる受験生はいないと思います。
建築確認申請や、建設業許可などの定番の行政行為ならともかく、私たち現役の行政書士ですら把握できていません。ましてや、受験生なら建設業許可すら知らない人たちも多いのではないでしょうか。しかし、試験ではそんなことお構いなしに事例問題が出題されます。
行政裁量は、数と言葉が問題
なぜ、行政裁量の問題が把握しにくいのか?行政行為は、数が数えきれいなほどあるのですべて把握している人がいない。行政裁量や羈束行為や裁量行為など似たような言葉あり分かりにくい。この2つの理由が挙げられます。
行政書士試験:解答テクニック『行政裁量の考え方編』の事例
そんな行政裁量ですが、考え方を変えれば見たこともない事例問題でも正解を導き出せるようになります。
例を使ってその方法を教えます。
問10次のア~オのうち、伝統的に行政裁量が広く認められると解されてきた行政行為の組合せとして、最も適切なものはどれか。
ア、道路交通法に基づく自動車の運転免許イ、電気事業法に基づく電気事業の許可
ウ、建築基準法に基づく建築確認
エ、食品衛生法に基づく飲食店の営業許可
オ、公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許
1. ア・オ
2. イ・ウ
3. イ・オ
4. ウ・エ
5. エ・オ解答:3
引用元:行政書士試験研究センター
このような行政裁量の事例を、答えさせる問題が出題されたとします。今回は、広く認められる裁量行為はどれか。と問われている問題ですね。
あ.道路交通法に基づく運転免許
い.電気事業の認可
う.建築基準法の建築確認の許可
え.食品衛生法に基づく営業許可
お.公有水面の埋め立て免許
1. ア・オ
2. イ・ウ
3. イ・オ
4. ウ・エ
5. エ・オ
先に言ってしまいますが、赤くなっている選択肢が広く認められる裁量行為の事例になります。ですが、本番では自分で考え答えを導いていかなければなりません。
この記事を読んでいる方は行政裁量の知識はあるという前提で話します。ご了承ください。
では、最初に見ていく選択肢は分かる事例からです。おいおい、そんなことが分かれば誰だって正解できるよ。と思いますよね。
いえいえ、分かる意味のとらえ方の違いです。分かるとは、今までで生きてきた人生で、聞いたこと、見たことや体験してきたことです。例えば、運転免許を知らない人はいないと思います。
このように、今まで生きてて聞いたことがある選択肢を見ていけと言っているのです。
ということは、選択肢「あ.道路交通法に基づく運転免許」から見ていきます。そして次に考えること…この運転免許が、裁量行為に当たるのか考えると思います。しかし、いきなりこの考え方では分かることはできません。
なので、もう少し身近なものとしてかみ砕いて考えてください。「運転免許は、どんな時に取るものか」を考えます。車やバイクなど乗り物を運転するために必要だから取ると答えると思います。
運転免許⇒車やバイクなど乗り物を運転するために必要
これを更にかみ砕くと、「なぜ車やバイクを乗るのに免許が必要なのか」考えます。答えは安全に運転するために免許は必要となります。
なぜ車を乗るのに免許が必要なのか⇒歩いている人をひく恐れや他人を巻き込む重大な事故を引き起こす恐れがあるため、安全に運転するために免許は必要
かみ砕いていくと、運転免許を取る意義は「歩いている人をひく恐れや他人を巻き込む重大な事故を引き起こす恐れがあるから、安全運転するために免許は必要」になっていくと思います。
他人に被害が及ぶことが今回の解答するために重要になってきます。
羈束行為は「他人に被害が及ぶ」場合
ここで、行政裁量の知識を少し話します。行政裁量とは、行政庁の自由な判断の有無で行政行為が行われるか決まるものです。
しかし、自由に判断できるといっても他人に被害が及ぶ行政行為(今回は運転免許)が、行政庁の勝手な判断(広く認められる)で行われてしまっては大問題です。なので、他人に被害が及ぶ行政行為は、羈束行為に当たります。
そして、運転免許の事例に戻すと
運転免許は、他人に被害が及びやすい行為なので「他人に被害が及ぶ行為=認められる余地がない行為」となり羈束行為に当たります。選択肢あは、広く認められる行為ではないので誤りになりますね。
他の選択肢も、他人に危害が及ぶか判断する
この考え方を元に、次に選択肢えの食品営業許可を見ていきます。
もし、お店の食べ物が腐っていようが毒が入っていようがお構いなしに食品が売っていれば、どうでしょう。もちろん他人にも被害が及んでしまいますよね。なので、食品営業許可も広く認められない行為になり誤りの選択肢になります。
問10次のア~オのうち、伝統的に行政裁量が広く認められると解されてきた行政行為の組合せとして、最も適切なものはどれか。
ア、道路交通法に基づく自動車の運転免許イ、電気事業法に基づく電気事業の許可
ウ、建築基準法に基づく建築確認
エ、食品衛生法に基づく飲食店の営業許可
オ、公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許
1. ア・オ
2. イ・ウ
3. イ・オ
4. ウ・エ
5. エ・オ解答:3
引用元:行政書士試験研究センター
ここまで分かれば、答えの肢は2、3に絞られてきますので、選択肢イの電気事業は両方の解答に入っていますので広く認められる行為ということが分かります。
では、残りの選択肢ウの建築確認の許可と選択肢オの公有水面の埋め立て許可が分かれば、正解までたどり着けます。どっちもイメージしにくと思いますが、建築という言葉がヒントです。
「建築=建物を立てる行為」と解釈できます。建物が簡単に壊れたらどうでしょう。もちろん自分も他人にも被害が及びますよね。
建築確認の許可=「認められる余地がない行為」と分かれば選択肢うの建築確認の許可は誤りとなります。
正解は、選択肢イ・オの電気事業の許可と公有水面の埋め立て許可が正解になります。
【補足】
テキストに記載されていない内容を解答させる問題は、正解が導き出しやすいようになっていることが多いです。なので、じっくりと1つ1つ解答すれば正解まで導き出しやすくなります。
まとめ
行政裁量のように、ちょっと分かりにくい問題が出てきても角度を変えてみて、その分野を勉強した知識と今までの生きてきた経験を元に正解が導き出せるようになっているのが行政書士試験です
しかし、いきなり、この解き方はやれと言われてもすぐにできるようになりません。過去問題集や他の問題集で数をこなして経験を積むようにしてください。
正解の答えを暗記するのではなく、問題文を読んで分からない状態でいざ自分だったらどうやって正解を導き出していくか考えるように問題を解くことがコツです。
最初は難しいと思いますが、これを身に付ければどんな問題が出題されても正解に繋げられるようになるので、諦めず頑張ってくださいね。
※このテクニックは、私が独自に過去問を分析して見つけたものです。合正解の選択肢を見つけるための保障にはなりませんので、使うときは自己責任でお願いします。
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行政書士を目指すきっかけは人それぞれだと思います。
それでも行政書士になりたいと目標や夢を持ったなら下記の記事を読んでください。
「行政書士を目指し食べていけるまでになった10年間の経験談」をまとめました。
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