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死因贈与と遺言書が抵触!、遺言書が優先するとは限らない!その理由とは?

父親から「私が死んだらこの土地をやるよ」と言われたので、その旨を承諾したにも関わらず、いざ相続になったら遺言書が発見されそんなことは一切書いてなかった。

挙句の果てには、「土地は○○○○に相続させる」なんて内容だったら、承諾したあなたは納得いきませんよね。

そのような承諾した内容は、死因贈与契約になります。果たして、死因贈与契約が成立した後に発見された遺言書はどちらが優先になる気になるところです。

上記の事例では、死因贈与契約に優先して遺言書の効力が発揮されます。

今回は、なぜ死因贈与契約よりも遺言書が優先するかについても解説し、また死因贈与契約と遺言書の違いも解説します。

必ず遺言書が優先されるとは限らない。死因贈与契約が先なら日付の新しい遺言書が優先

早速、死因贈与契約と遺言書のどちらが優先されるのか解説します。

先ほどの例では、死因贈与契約よりも遺言書が優先されるとお伝えしたと思います。

しかし、必ずしも遺言書が死因贈与契約より優先されるとは限らないのです。

それは、「遺言書が先か」「死因贈与契約が先か」によって、優先されるかが決まってくるからです。

先ほどの例の「死因贈与が契約された後に遺言書が作られた」場合は、遺言書が優先されます。

なぜなら、日付が新しい物を優先させるからです。

これは、民法1023条からきている定めです。

第1023条

1.前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

引用元:wikibooks

撤回とは取消すという意味です。前の遺言は後の遺言で取り消したことになるので、後の遺言を優先するということですね

しかし、これだけでは前の遺言と後の遺言が抵触した場合となっており、死因贈与契約と関係ないのでは?と思うかもしれませんが、以下の条文も読んでみてください。

第554条(死因贈与契約)

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

引用元:wikibooks

遺贈とは、遺言で贈与することです。

民法554条では、死因贈与契約は遺贈に準用するとなっていますね。遺贈の部分は遺言と置き換えることができるので、民法1023条が適用されます。

準用とは、適用すると捉えてくださいね。

これで、死因贈与契約された後に遺言書が作られた場合は遺言書が優先されてしまうのが分かります。

遺言書作成が先でも、死因贈与契約が後なら死因贈与が優先する

必ずしも、遺言書が優先するとは限らないとお伝えしたと思います。

遺言書より、死因贈与契約が後なら死因贈与が優先して働きます。

またもや民法上で定まっており、死因贈与契約で遺言書と抵触する部分の内容を撤回(取消)したことになるからですね。

第1023条

1.前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

2.前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

引用元:wikibooks

先ほどの民法1023条1項では、遺言書同士が抵触した場合、後の遺言書で取消す旨の内容を定めていました。

そして、2項で遺言後…一部の行為があったら1項の内容を適用するとなっているのが分かりますね。

その一部の行為の中に、死因贈与契約(その他法律行為)が入っているから、遺言後の死因贈与契約が優先されるのです。

遺言書の後に死因贈与されても、日付がない契約書だったら遺言書が優先される

ただし、死因贈与契約が後に締結されたものだからいって絶対に優先されるとは限りません。

なぜなら、死因贈与契約の方法によるからです。

その契約方法には、口頭でした契約や日付がない契約書があります。

例えば、「おれが死んだら土地を譲る」「わかりました。ありがとうございます。」このような口頭で締結した契約も有効です。

しかし、このような契約書はいつ契約したが分からず、証拠力が薄いものになってしまうことがあります。

このような、遺言書の後に死因贈与が為された契約は、いつされたか分からず…証拠力が強い日付が必須な遺言書が優先されてしまいます

自筆証書遺言が無効だった場合、死因贈与契約として認められるのか?

それでは次に、遺言書が無効だった場合、その内容は死因贈与契約として認められるのか?と思う人もいると思います。

無効になる遺言書は、自筆証書遺言で作成された物が多いです。

日付、全文自筆、署名など、法律上の形式があるからです。

また、遺言書は、自分の意志で一方的に財産を渡す方法であり単独行為になります。一方、死因贈与契約とは、贈与者と受贈者による双方行為になります。

なので、遺言書では受贈者の承諾がないので、死因贈与契約に代わることはありません。

しかし、遺言書作成時、受贈者が遺言執行人なっていたり、作成の時に関わっていたりすれば、死因贈与契約として認められる可能性もあります。

例えば、遺言者が、受贈者の前で「土地を譲る」旨の内容を書いた遺言書を作成したなどです。

この場合、受贈者は遺言の内容を知った上、遺言書が作成されたと分かっている(承諾)なら、死因贈与契約が締結されたとみなすことがあります。

遺言書と死因贈与の違いを表で解説

ここまでで、遺言書と死因贈与契約が抵触した時の優先順位が分かりました。

そして、遺言書と死因贈与契約は、似たような性質を持っているのも分かったのではないでしょうか。

それは「財産を後代へ引き継がせる」性質です。

しかし、似ている性質がある部分違った部分もあります。

前項で、遺言は単独行為になり死因贈与は双方行為などの違いですね。

このように、遺言書と死因贈与契約は違いもありますので、その違いを表にまとめましたので以下で紹介します。

遺言死因贈与
合意の必要性単独行為贈与者と受贈者との双方行為
手続き遺言書贈与契約書または口頭
年齢制限15歳~未成年者は不可
撤回(取り消し)新しい遺言書で可能贈与者が自由に可能。しかし、負担付贈与は、履行した部分は不可能
受贈者からの放棄いつでも可能。ただし、包括遺贈の場合、相続を知った時から3ヶ月以内書面の場合、不可能
不動産の名義変更単独行為相続人の同意が必要

以上が遺言書と死因贈与契約の違いです。

遺言書は単独で作成できるため、誰にも知られずに財産を渡すことができるのがメリットです。

しかし、自筆で遺言書を書く場合、形式にミスがあると無効になる可能性もあります。

また、相続人全員の合意があると遺言書の内容ではなく、協議した内容で財産分割できてしまうデメリットもあります。

逆に、死因贈与契約では、贈与者と受贈者による、双方契約になるので、確実に指定した財産を受贈者に渡すことが可能になります。

こちらも、書面に不備があった場合、無効になる可能性や遺言書が優先になってしまうこともあります。

また、対象物が不動産だと単独で名義変更ができないなどの煩わしいデメリットがあります。

まとめ

以上で、遺言書と死因贈与契約が抵触した時との違いについて解説しました。

死因贈与契約より遺言書が後だった場合は、日付が新しい遺言書の内容を優先する。

逆に、遺言書よりも死因贈与契約が後だった場合は、死因贈与契約の内容を優先する。

ただし、口頭での契約や日付無しの契約書だった場合、日付が必須の遺言書が優先されます。

このように、遺言書作成時期や死因贈与契約の方法によっても優先順位が変わってくるので注意が必要ですね。

今回の解説は以上です。

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